終わりと始まりはいつも表裏一体だ。何かが終わることで始まりは訪れ、始まりがあるからこそ終わりがある。いくつもの終わりと始まりを繰り返しながら、私たちは生きているのだ。

 

　今回、「乱痴気集団ミソナナ。」は旗揚げすると同時に無期限の活動休止を宣言する。始めた瞬間に終わる、なんと美しいことだろう。夏の夜空に一瞬だけ咲き誇り散っていく花火のようではないか。

　私は正に、最後の花火を打ち上げるべく今回「ミソナナ。」の立ち上げを決意した。「最後」とは言ってもまだまだ長い人生である。今後またどこかで演劇に携わることがあるかもしれない。しかし、高校時代から続けてきたこの私の演劇人生の一つの区切りとして、公演を打ちたいと思ったのだ。

 

　旗揚げに当たって、昨年一年の活動の中で出会った最高のパフォーマンス集団「●-ｱﾅｱｷ-」より竹田航さんと田中宏明さんをお招きしている。加えて、この志に賛同してくれた仲間たちのおかげでこの公演が開催できることに深い感謝の意を表したい。

 

　我々が掲げる「乱痴気集団」の「乱痴気」とは、原義で「気を取り乱して理性を失うこと」である。だが、安心してほしい。我々は決して理性を失っているわけではない。理性の下に「気を取り乱して理性を失ったフリ」をするのである。（酒を飲みすぎて常時酩酊しているというのは否定し難いが）

 

　今回の演目である「Storyteller」は、私が表現したかった物語の一つの到達点と言えるかもしれない。これまでに脚本、演出、舞台監督、音響、照明、デザイン、キャストとあらゆる役職を渡り歩いて来た中で、自分の理想とする舞台像が浮かんできた気がする。その全知識を動員して構成したこの作品は、云わば私の経験の結晶である。私の全身全霊が、ここに表現されている。

 

　この作品に、キャスト・スタッフもまた、全身全霊をぶつけてくれている。これを観ないで済ませる手があろうか？（いや、ない）

 

　重ね重ねであるが、これは「ミソナナ。」の旗揚げ公演であり、無期限活動休止公演となる。いつかまたこのメンバーで公演を打てるのを夢見て、我々は一瞬の「始まり」と「終わり」を駆け抜けていこうと思う。

 

乱痴気集団ミソナナ。　主宰　O2